東京高等裁判所 昭和35年(く)104号 決定 1960年11月22日
少年 T(昭一五・一一・二九生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の要旨は、
(一) 原決定の事実認定には重大な事実の誤認があり、又、(二)原決定が少年を特別少年院に送致する旨を言い渡した処分は著しく不当であるというのであるが、
(一) については、記録に現われている証拠によれば、原決定が認定した罪となるべき事実は十分に肯認することができ、記録を精査しても、原決定の事実認定に重大な事実の誤認があるとは考えられないし、又、(二)については、記録を調査すれば、少年は一七歳の頃軽犯罪法違反の非行を犯し、次いで昭和三四年五月七日成年と詐つて東京簡易裁判所においてわいせつ図画販売目的所持罪により罰金五、〇〇〇円に処せられ、その後更に同罪を犯したため同年六月一〇日東京家庭裁判所において試験観察に付され、右試験観察中に更に同罪を犯したため同年七月二七日に同裁判所において保護観察に付されたが、少しも改善の様子がなくその後三回も同罪を重ねてきたものであり、且つ交友関係が極めて不良であり又保護者の保護能力も極めて不十分であること等を考慮すれば、原決定が少年を特別少年院に送致する旨を言い渡した処分は相当であつて、著しく不当とは考えられない。
よつて、本件抗告はすべて理由がないから、少年法第三三条第一項後段により、これを棄却することとして、主文のように決家をする。
(裁判長判事 井上文夫 判事 久永正勝 判事 河本文夫)